10-1④決算調整のチェック一覧。引当金の要件
引当金とは、
将来的に発生の可能性が高い費用・損失であること。
計上の時点で、費用・損失の原因が発生していること。
計上する費用・損失の金額が合理的に見積れること。
※参考資料:企業会計原則注解18
引当金を設定するには、上記の3つの要件をすべて満たす必要があります。
引当金の分類と代表例
引当金は、目的によって
「評価性引当金」、
「負債性引当金」
に分類されます。また、負債性引当金は、債務性の有無によってそれぞれ勘定科目が設定されています。
評価性引当金とは
「損失」に備え、資産から控除(マイナス表示)し計上するのが評価性引当金です。
具体的には
「貸倒引当金」や「投資損失引当金」などが該当します。
■債務性がある負債性引当金
名称 目的
①賞与引当金 翌期、従業員に支給する賞与に備えて計上する
②役員賞与引当金 翌期、役員に支給する賞与に備えて計上する
③特別修繕引当金 1年を超える有形固定資産(工場)の修繕に備えて計上する
※1年以内の修繕は「修繕引当金」となります。
④製品保証等引当金、 リコールや1年保証などの無償修理・交換に備えて計上する
⑤完成工事補償引当金 主に建設業者が、完成工事の瑕疵担保責任の発生に備えて計上する
⑥工事損失引当金 主に建設業者が、赤字が発生する可能性の高い工事に備えて計上する。
⑦売上割戻引当金 売上などに応じて支払う「売上割戻金」の発生に備えて計上する。
⑧返品調整引当金 当期に売り上げた商品を次期以降の返品に備えて計上する
■債務性がない負債性引当金
①修繕引当金 1年以内の有形固定資産(工場)の修繕に備えて計上する。
②特別修繕引当金
※1年を超える場合。
③損害補償損失引当金。
将来発生する可能性が高い事故、訴訟などに備えて計上します。
④債務保証損失引当金 次期以降の債務保証の履行に備えて計上します。
なお、法人税法では基本的に引当金の計上が認められていませんが、中小企業では例外として「貸倒引当金」のみ損金算入することができます。
※2018年度の税制改正で「返品調整引当金」が原則的に計上できなくなりました。
bluefish
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