10-1③決算調整のチェック一覧。貸倒引当金を計上しよう。
中小法人では、
貸倒実績率法と法定繰入率法とで、どちらか高い方を選択することが、可能です。
1.貸倒引当金計算方法。
貸倒実績率法。
「貸倒実績率の算定」
貸倒実績率は、ある期の債権残高を分母とし、翌期以降における貸倒損失額を分子として計算します。
「貸倒実績率の算式」
貸倒実績率=x2年度以降の貸倒損失額÷x1年度末の債権残高
上記算式の翌期以降の分子の期間は、債権の平均回収期間です。
ただし回収期間が1年を下回る場合には1年とします。
なお、当期末の保有債権について適用する貸倒実績率を算定するには、当期を最終年度とする算定期間を含むそれ以前の2~3算定期間に係る貸倒実績率の平均値によります。
(金融商品会計に関する実務指針第110項参照)
「貸倒実績率法における貸倒引当金の算式で計算します。」
貸倒引当金=債権残高×貸倒実績率
また、引当金を計上することを繰入(くりいれ)と呼びます。
2.貸倒引当金計算方法。
法定繰入率を用いる方法
中小法人については、貸倒実績率を用いる方法に代えて、
法定繰入率を用いて計算する方法があります。
「繰入限度額 」
=(期末一括評価金銭債権の帳簿価額 – 実質的に債権とみられない金額) × 法定繰入率
「一括評価金銭債権の具体例。」
(1) 売掛金、貸付金
(2) 未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家賃等又は貸付金の未収利子で益金の額に算入されたもの
(3) 他人のために立替払をした場合の立替金(将来精算される費用の前払として、一時的に仮払金、立替金等として経理されている金額に当たるものを除きます。)
(4) 未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの
(5) 保証債務を履行した場合の求償権
(6) 売掛金、貸付金などの債権について取得した受取手形
(7) 売掛金、貸付金などの債権について取得した先日付小切手のうち法人が一括評価金銭債権に含めたもの
(8) 延払基準を適用時の割賦未収金等
(9) 法人税法上のリース取引のリース料のうち、支払期日の到来していないもの
(10) 工事進行基準を適用している場合のその工事の目的物を引き渡す前の工事未収金
含めないもの。
(1) 預貯金及びその未収利子、
(2) 保証金、敷金、預け金
(3) 手付金、前渡金等
(4) 前払給料、概算払旅費、前渡交際費等
(5) 金融機関における他店為替貸借の決済取引に伴う未決済為替貸勘定の金額
(6) 証券会社又は証券金融会社に対し、借株の担保として差し入れた信用取引に係る株式の売却代金に相当する金額
(7) 雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定に基づき交付を受ける給付金等の未収金
(8) 仕入割戻しの未収金
(9) 保険会社における代理店貸勘定の金額
(10) 法人税法第61条の5第1項(デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等)に規定する未決済デリバティブ取引に係る差金勘定等の金額
(11) 法人がいわゆる特定目的会社(SPC)を用いて売掛債権等の証券化を行った場合において、その特定目的会社の発行する証券等のうちその法人が保有することとなったもの。
「法定繰入率」は、
業種ごとに、定められています。
法定繰入率は下記。
卸売業及び小売業(飲食店業及び料理店業を含みます。)
10 / 1000
製造業
8 / 1000
金融業及び保険業
3 / 1000
割賦販売小売業並びに包括信用購入あっせん業及び個別信用購入あっせん業
13 / 1000
その他
6/1000
※引用元:国税庁『No.5501 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定』
なお、
実質的に債権とみられない金額とは、
=「売掛先に対して当社が買掛金を有している」
というようなときに発生します。
この場合、売掛金全額でなく、当社が支払うべき債務分は相殺します。
bluefish
0コメント