4-2 事前確定届出給与は、忘れずに。

4-2 事前確定届出給与は、忘れずに。
あんがい、期中に役員賞与として支給されている会社が多いです。
税務署から、否認されることがありますから、気をつけましょう。
従業員の給与や賞与は、「損金」に算入することができます。
ところが、税法上、役員報酬を損金にするには、3つの条件があります。
役員報酬が損金にならないと、
→法人税の計算のベースになる利益が膨らみ、法人税が、増えます。

役員報酬を損金算入できる、3つの条件。
①「定期同額給与」=毎月、一定額で支払う。
途中で役員報酬額を増減させることができません。
多くの会社は、この方法を使っています。
②「事前確定届出給与」=「いつ、いくら支給する」と、事前に税務署に届け出たうえで支払う。
届け出た内容変更は認められません。
 ②は、非常勤役員などの報酬を支払う場合にも使用されます。
「事前確定届出給与」は、役員の「賞与」と言うケースがある場合に使用されることが多く、①と“併用”されます。
ちなみに、①と②どちらかが、損金算入ができなくなっても、もう1方は、否認されません。
③「利益連動給与」=利益などに連動し、報酬額が自動的に決まる。
 ③は、普通の未上場・中小企業が使うことはできません。
申告書に、同族判定がありますが、
この条件は、「同族会社でない会社」が対象とされています。 
中小企業は、株主が社長1人で・奥さんや親族などの「特殊関係人」、という同族会社である場合がほとんどです。
実際には①か②の2つということになります。

税務署への届け出は、
「株主総会の決議の日から1ヵ月以内」
「決算から4か月以内」
のいずれか早い日が期限です。
・届け出金額よりも多く支給したら=増額した差額分だけでなく、報酬の「全額」が損金不算入になります。

・届け出金額より少なく支給したら=原則として減額して支給した「全額」が、損金不算入です。
・1円も支払わなかった場合支払額0円ですから、そもそも損金にはなりえません。
捕捉します。
「役員報酬なし」は、
役員には「報酬請求権」がある、ということです。
会社が事前確定届出書を税務署に提出すると、その中身は会社の意思決定だけでは取り消せません。
もし、「業績が思わしくないので、今度の役員報酬はなしにします」と会社が決めたとしても、役員側の「もらう権利」まで消滅はしません。

もうひとつのリスクは、報酬が支払われなかった役員に、源泉所得税が課せられるかもしれないことです。
税務上は「支給日の到来前に辞退の意思を表示しない場合は、その支給の有無に関わらず原則源泉所得税を課税する」(所得税法基本通達29-10の反対解釈)というルールが存在します。
支給しないことにした場合には、支給日の前に役員が報酬を辞退したことを決議して、取締役会議事録に残すことが必要です。

国税庁の考え方は、
「税逃れのための役員報酬の“操作”は認めない」。
と、言う意味です。
役員報酬は、「定期同額給与」です。
原則、期中で、変更は出来ません。
役員報酬(賞与)も、自由に、出せません。
案外、知らずに、あげたり、さげたり、している会社が少なくありません。
注意しましょう。

コラム④

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