Y氏の譲渡損計上。

9-3 Y氏の譲渡損計上。
判例から、考えたいと思います。
この方法は、面白い方法です。。
〈設問〉
子会社に対する債権が回収できる見込みもないので、損金処理できないか?
銀行がサービサーに売却するように、子会社の債権(貸付金)を第三者に売却すれば、債権譲渡損を計上できるのではないか?
Y氏は、このように、考えました。
しかし、通常、これを認めるのであれば、子会社の整理損等で規定する「法人税基本通達9-4-1」を結果的に免れることになり、不合理です。
しかし、以下の様な、裁決事例があります。
結論、国税が同様の指摘をしたものの、債権譲渡の効力を否定するほどの事実が認められないとして、国税の更正処分を取り消す決定をしています。
つまり、国税が負けたと言うことです。
参考にしてください。

◯審判所の判断
この判例に、沿って審判所の判断を要約します。
甲 ◯◯電業
乙 △△製作所
仲介□□商会
甲は、債権譲渡は、金融機関からの不良債権処理を求められていた。
乙からの買取りの申出に応じ、仲介者を通して乙に再譲渡する取引を審判所は認定しました。
甲に、債権売却損が発生したかのような、仮装取引と認められない。
債権売却損は甲から乙への債権譲渡により生じたものである。
との理由で、
審判所は更正処分を取り消す裁決を行ないました。
詳細は、
① もともと債権放棄を前提として貸付けられたものとは認められない。
(貸付金の譲渡)
② 非上場会社に対する債権であるが、譲渡性を有している。
③ 鑑定の結果について、恣意性(自然な結びつきが存在しないこと。)がない。
つまり、証明しえる根拠がない。
鑑定結果が不当であるとまでは言えない。
(仲介者が本件債権価格の鑑定・調査を行っている。)
④ 仲介者は、一般的な仲介と認められる。
⑤ 譲渡は、乙の自己資金である。
と、言うことが記述されています。
Y氏の考えた、
子会社の債権(貸付金)を第三者に売却すれば、債権譲渡損を計上できることに、なります。

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