合併適格における繰越欠損金の引継ぎ。実践編。

12-9合併適格における繰越欠損金の引継ぎ。実践編。
 組織再編成で、2つの会社を1つにする合併について、
→①税制上で適格とされる合併を行った場合  、
 →合併される側の会社が有する繰越欠損金を原則的には引き継ぐことができます。
→一方、②税制上で適格要件を充足しない非適格合併を行った場合、
 →繰越欠損金を引き継ぐことはできずに、その欠損金は切り捨てられてしまいます。

○繰越欠損金の不当な利用を防止するために、
(1)の繰越欠損金を引継ぐためには一定の要件が定められています。
キーワードは、「5年50%超」です。
合併前に、合併する会社と合併される会社との間に50%超の資本関係が生じてから5年を経過していない会社と合併した場合は、繰越欠損金の引継ぎが制限されます。
この趣旨は、外部から無関係の赤字の会社を買ってきて、自分の会社とくっつけて税金を安くしようという、
租税回避を防止にあります。
もともと自社と関係が深い会社なのかどうかで判断することになります。
(2)「自社と関係が深い会社」かどうかを、法人税法では、5年50%超の関係があるかどうかで判断するということになります。
そのため、2社のうちいずれかが5年以内に設立され、
その設立の日から継続して50%超の関係があれば、繰越欠損金の引継ぎ制限は課されません。
ただし、
5年50%超の関係がない場合であっても、
その関係が、みなし共同事業要件として、
①~③または①及び④のいずれかの要件により判定します。
  ① 事業関連性要件 
  ② 事業規模要件
  ③ 事業規模継続要件
  ④ 特定役員引継要件
被買収会社の役員は退任することが多いので、④の要件で判定することはあまりありません。
したがって、①~③の要件で判定することになりますので、シナジー効果が得られるような合併をするのであれば、繰越欠損金は引き継げることになります。

(3)繰越欠損金の使用制限
 
合併される会社側だけの繰越欠損金のみを制限するだけだと、
合併する側とされる側を逆にして、
→逆さ合併を行うことで、被買収会社の繰越欠損金の利用できるようにするといった租税回避が可能となってしまいます。
そこで、合併前に合併する側の会社が保有している繰越欠損金についても、
(2)と同様の制限が課されています。
買収会社と被買収会社とで合併する場合には、買収会社側の繰越欠損金が使用できない場合がありますので、注意してください。


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