役員報酬の期中減額②。

4-1②役員報酬の期中減額。
それでは、役員報酬を減額したいのだけれどと言う質問があった場合を、考えてみましょう。

法人税法では、要件(=必要な条件)を満たさないと、減額を認めないとしています。
これは、「意図的な税負担の操作」防止のためです。
・利益の多い会社。
→役員報酬増額。
→法人税軽減。
・業績が低下した会社。
→役員報酬を減額。
→個人所得税の負担分を法人税の負担分にシフト。
それでは、
役員報酬(定期同額給与)を減額する場合は、
通常、事業年度の開始が4月1日ならば、2ヶ月後6月30日までに、
・株主総会を開催し、
・議事録を作成し、
・役員報酬(定期同額給与)
(株主総会等で決定)
を変更します。
(税務調査で議事録を求めらえることがあります。)

もし10月に減額をした場合どうなるか?
考えてみましょう。
勝手に減額すると、
例えば、
「3月決算の会社が、9月に、減額すると下げた役員報酬70万と下げる前の報酬100万の差額30万は、期首4月からさかのぼり、全て経費(30万×6か月=180万)として認めない」とされ、そこに法人税が課せられます。
つまり、
会社経費として認められなかった差額部分には法人税も個人所得税もかかるということです。
それでは、例外はあるでしょうか?
経営状況の悪化で、役員給与を減額せざるを得ない事情の場合は、
例外です。
(法人税法上はこの「経営状況の悪化」は、かなり限定されます。)
国税庁は、「業績悪化改定事由」を下記の様に示しています。
経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合。
取引銀行に借入金返済のリスケジュールの協議しており、役員給与の額を減額せざるを得ない場合。
業績や財務状況悪化のため、取引先等の利害関係者に、改善計画が策定され、減額が盛り込まれている。
ただし、金融機関とのリスケジュールの協議以外、同族会社のような「株主と役員が親族関係」の場合は、難しいです。
最後に、
社会保険の「標準報酬月額」の等級が2等級以上減少する場合は「被保険者報酬月額変更届」が必要です。
参考まで、ご一考願います。

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