一括比例配分方式。

5-2 一括比例配分方式
私も含め、経理担当は、たいてい、個別対応方式で記帳しています。
でも、個別対応方式・一括比例配分方式選択について検討しておく必要があります。
結論から、話してみます。
通常、一般的な事業者は課税売上割合は100%で、非課税売上は、ほとんどありません。
従って、一般的な事業者は、個別対応方式でも、一括比例配分方式のどちらでも、さほど消費税の納税額に差額は発生しません。
変わってくるのは、居住用のマンションを建設・取得した場合、
居住用物件の賃料は非課税であり、居住用物件の取得に要した費用は非課税売上に対応します。
個別対応方式は、消費税額の支払いをしていても、非課税売上に対応する部分は一切控除対象とはなりません。
ところが、一括比例配分方式では、消費税額が課税対応、非課税対応関係なく、
課税仕入に係る消費税額の総額に課税売上割合を掛けた金額が控除対象となります。
居住用物件が賃料の売上高はすべて非課税売上です。→課税売上割合は0%となり、消費税額の控除はできません。
つまり、賃料収入の場合は、一括比例配分方式を採用した方が有利です。
◯基本にかえって、
控除対象仕入税額”の算出方法は、
一般課税(原則課税)
と簡易課税があり、
一般課税には、
個別対応方式
と一括比例配分方式があります。
◯一括比例配分方式とは、
仕入控除税額を一括して算定します。
つまり、個別対応方式のように課税仕入を区分する様な税額計算は不要です。
◯個別対応方式とは、仕入れに対する消費税を3つに区分し、納付税額を計算する方法です。
① 課税売上対応   
   → 全額控除する
② 非課税売上対応  
   → 控除しない
③ 共通対応     
   → 課税売上割合を乗じた分を控除する。
この3つの区分を用途区分といいます。
一括比例配分方式が個別対応方式より有利な場合は、
→非課税売上に対応する課税仕入額が多い場合があげられます。
例えば、前述の様に、住宅向けの賃貸不動産会社の物件購入初年度等がこれに、あたります。
◯一括比例配分方式の注意点。
 
一括比例配分方式は2年間の継続適用が強制され、翌年に課税売上割合が下がる様な場合には、考慮が必要です。
また、
課税期間中の課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上である場合には全額が控除対象となりますので、個別対応方式しか選べません。
一般的には、課税売上は、
商品販売、飲食店、サービス業です。
非課税売上は、
・病院関係
・身体障害者用の物品販売等です。
◯これが、混合する事業者もいます。
通常は課税売上の事業者でも、
土地・有価証券を売却した場合、一時的に非課税売上が生じます。
◯申告時の注意点
前期が全額控除又は個別対応方式の場合は、(大切です。) 
個別対応方式・一括比例配分方式の選択は申告時にできます。
有利判定が必要です。
◯この制度の考え方は、
非課税売上の割合が多い事業者の控除税額を、是正して適正値に近い税額を算出させる効果があります。
従って、一括比例配分方式を選択する場合は、
翌期の状況も考えて選択が必要です。
多少一括比例配分方式が有利であっても、
個別対応方式を選択したほうが安全の場合があります。


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