期末には、社会保険料の未払計上しましょう。

9-9 期末には、社会保険料の未払計上しましょう。

社会保険の仕訳は、各自あんがい異なった仕訳をしています。
( 1 )覚えて置きたいこと。
健康保険料や厚生年金保険料など社会保険料は、会社の負担部分と従業員の負担部分があります。
会社負担部分は法定福利費として処理されます。
社会保険料の支払いは、当月分を翌月末までに支払うことから、当月分の給料で前月分の社会保険料の従業員等負担分を預かるのが一般的とされています。
いっぽう、社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料など)については、当月分に係る納入告知書の到達が一般的に翌月後半です。このため、通常は月次決算に取り込むことが困難です。
これらのことから、会社負担分の社会保険料(法定福利費)の発生のタイミングがひと月遅れとなってしまいます。
消し込みの方法も、
社会保険料の従業員負担分の処理として、
①「法定福利費のマイナスとして処理する方法」
②「預り金として処理する方法」があります。
私は、預り金の処理で仕訳します。
( 1 )従業員等負担分を法定福利費のマイナスとして処理する方法
従業員等負担分は法定福利費のマイナスとして、保険料の支払いも全額法定福利費とする処理です。
給料発生時
(借) 給料 XXX 
    (貸) 預金等 XX
      法定福利費 X
社会保険料納付時
(借) 法定福利費 XX 
    (貸) 預金等 XX
社会保険料には会社負担分と従業員等負担分があります。
このうち、会社負担分は費用(法定福利費)となりますが、従業員負担分は費用とはなりません。
そこで、社会保険料の(未払)計上については、従業員等負担分も含めた全額を法定福利費として処理し、従業員等負担分を預かったときの処理を法定福利費のマイナスとします。
すると、あたかもうまく相殺が行われ自動調整されたような形で会社負担分のみが会社の費用となるかのようになります。

( 2 )従業員等負担分を預り金として処理する方法
従業員等負担分は預り金を使い、保険料支払い時に預り金を取り崩すという最もポピュラーな処理です。
給料発生時
(借) 給料 XXX 
   預り金 X
     (貸) 預金等 X
給料発生時
(借) 法定福利費 X 
    預り金 X 
    (貸) 預金等 XX
  

ここから、以下では、この方法をベースにします。

月ズレの問題
問題は、法定福利費の発生のタイミングです。
社会保険料は、当月分を翌月分に納付します。
このため、一般的には、当月分に係る保険料等の従業員負担分はその翌月分の給料から差し引くというのがモデルになっています。

発生した給料は例えば3月分とすると、法定福利費(社会保険料の会社負担分)は2月分となって、期間対応ができていません。
従って、期末には、
次の仕訳を入れなければなりません。
(借) 法定福利費(期末分) 
  (貸) 未払金(期末分) 
     預り金(期末分) 
この仕訳により、決算時の貸借対照表は、社会保険料の従業員等負担分(預り金)の残高はゼロになり、期末分の社会保険料が未払金として計上されることになります。
最大の問題は、前月分の社会保険料に係る納入告知書が月の後半に送達されることが多いため、通常の月次決算に間に合わないという点です。
社会保険料の会社負担分は給料の1割以上に相当するため無視できない金額と考えられます。
決算期には、社会保険料の未払金計上しましょう。


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